はらっぱ店主  冨松 志保さん

とある熊本人

宇土市下網田町にある以前タバコ店だった場所。

そこに「はらっぱ」という店があるのをご存知でしょうか?

外から見ると昔懐かしいタバコ屋さんの外観。

ですが、一歩中に入るとまた違った雰囲気の場所になります。

お店といっても物を売っているわけではありません。

ここでは毎月ヨガやイベントが行われ、子どもの学びの場でもあります。

ここの店主は建築士でもある冨松 志保さん。

もともとたばこ屋だった建物の内装を、自分でリノベーションしたというのですから驚きです!

そこはさすが建築士というべきでしょうか。

現在も建築士の仕事もして、さらに子育てもしながらここの店主もされています。

【建築士】【ママ】【はらっぱ店主】と3足のわらじを履く冨松さんにお話を伺うことができました。

「可愛い響きの名前のお店ですよね。「はらっぱ」という名前にはどんな由来があるんですか?

「『はらっぱと遊園地』という建築の本があるんですが、そこから名付けました。【遊園地】っていうのは遊ぶことが決められているじゃないですか。でも【はらっぱ】はそこに集まった人が『何かここならできるんじゃないか』と決めていく。だからこのお店も私が使い方を決めるんじゃなくて、ここに来た人が『コレやりたい‼︎』という感じでやっていく場所にしたいというのが最初です。」

人がしたいことを叶えるお店なんですね。
以前からこういうお店を作りたいって思っていたのですか?

「いいえ。地域おこし協力隊の募集からです。もともと宇土が地元なんですが、熊本市内でしていた仕事を辞めたいと思っているタイミングで募集があったんです。前任の地域おこし協力隊の人も知っていたし。そして、ちょうど宇土の生家の解体の話が出ていて、『解体するなら自分たちが住む!』となった時期とも重なって。ちょうど波が来て『いける!』と思って波に乗りました。全て縁。導かれている感じがしました。」

すごいですね!
全てが道になってる。

そこで宇土に住んで地域おこし協力隊の一環で始めたんですね。

「そうです。空き家を使って何ができるかって考えた時が、ちょうど私に子どもが産まれた時だったんです。お母さんたちが集まれる場所が作りたいと思い、まずは場所の活用をスタートしました(その後、作りたいイメージはどんどん変化していくんですけどね…)。子育て支援センターはありますが、そこは子どものための場所です。そうではなくて、大人の場所に子どもを許容できるようにしたいと考えました。子どもを連れてきていい大人の場所です。第一に癒されてほしいのはお母さんなんです。」

子どもも許容する大人のための場所ですか。
どのようなことをしているんですか?

「本格的に動き出したのはヨガですね。毎月ヨガの先生と計画しています。その前は子ども向けのイベントもやっていましたが、こちらは定期的ではありませんでした。活動する中で自分の方向性も変わってきたんです。今後、小学生対象の【探究心を育むための塾】も準備をしていてスタートする予定です。子ども本人がしたいことをとことん追求させてあげます。一番大事にしたいのは『私が決めるのではなく、利用者がやりたいことをやれる場所』というのは変わっていません。」

【探究心を育むための塾】とは具体的にはどんなものですか?

「子どもの欲求を満たしてあげ続けるんです。例えば…工作や実験が好きな子がいたとして、家だと散らかったりして大変だと思います。親は後の片付けまで想像しますから、つい子どもの行動を止めちゃうんですよね。でも、『はらっぱ』ではそれを考えずに没頭してもらいたい。やりたいことがある人に場所を貸すっていうのがこの場所です。」

勉強の塾とはまた違った感じなんですね。
こういう場所は他にない気がします。

「私勉強が好きなんですけど、【好きな勉強】しか好きじゃないんですよ。好きなことって楽しいじゃないですか。子どももそれでいいと思っていて。で、好きなことって必ず5教科に繋がっていると思うんです。私の場合【建築】だと数学だったり物理だったり美術なども繋がります。好きなことからそういう補助線を引いてあげたいんです。一人一人観察して、『この子はコレが好きなのか…じゃあコレをやってみようかな』って一緒に進んでいければいいと思っています。」

勉強が好きだったんですか!?
言ってみたいセリフです(笑)

冨松さんは建築士でもありますもんね。
小さい頃から建築士になりたかったんですか?

「小学校高学年くらいから建築士になりたかったですね。今でも建築は好きです。でも建築士になって最初に入った会社で現実とのギャップにショックを受けました。私に変なプライドがあって『できる!』って思ったんです。ずっと建築は好きだったし、大学生の時は死ぬほど勉強したから。でも社会人になってビックリしました。人に頼ったりができなくて、『できません』が言えない。新人だからできなくて当たり前なのに…。」

そんなことがあったんですね。
それでも今も建築士を続けているのはやっぱり好きという気持ちがあるからなんでしょうか。
【建築士】も【ママ】も【はらっぱ店主】も全てするのは大変だと思います。

「パラレルワークで良かったこともあるんです。造る仕事をしていたから教えられる事もあるし、逆に他のことから建築のヒントになることもあります。良い相乗効果が得られればいいなと思っているのですが、それも中途半端なのかなって思う事もありました。でも友達に言ったら『スキル フル活用してね!』って言われたんです。それ聞いた時に中途半端じゃなくてフル活用しているんだって思いました。」

素敵なことを言うお友達ですね。
では今後もどれかに絞るというわけではないんですか?

「今後についてはノープランですね(笑)それこそ、これまで建築の道をひたすら邁進していた人生だったんです。それが初めて波みたいなのが見えて、意外な景色が見えた。それまで同じような考えの人たちとしか接してこなかったけど、いろんな職業の人たちがいるんだと知れた。真っ当に大学行っているだけじゃ見えない世界があるなって思ったんです。40歳くらいまではあえて決めないどこうかなって…。来た波に乗る。今目の前にあることや、やりたいことをやってみたら違うところに着いてるんじゃないかなって。」

波が見えることってそうそうないですよね。
波が来ても実行する事は勇気がいりますし。

昔の自分が今の自分を見たらどう思うと思いますか?

「中高生の自分なら『くすぶってんな』って思うと思います(笑)前は目標見つけてそれに向かって猪突猛進って感じだったから。前は都会や海外に行きたかった人間なのに、今私は地元の宇土にいる。それもくすぶってんなって…。でも、社会人の一番辛かった自分からすると、すごく大人になったっていうか…きちんと自分の立ち位置を把握できてる。地に足ついてるって凄く変わったなって思うと思います。」

過去と言ってもいろんな時期の自分がいますもんね。
同じ事柄でこんなに感じ方が違うんですね。

今の【はらっぱ】の活動で大変なことはありますか?

「毎月ヨガのイベントはしていますが、塾としては立地的に人が少ないから運営ができるのか、人が集まってくれるのかってところですね。この場所まで来るのが難しい場合は実家も候補にいれて選択できるようにしようと思っています。基本はInstagramで発信をします。」

新しい学びの場として知ってもらえるといいですね。

「はい。でもたくさん来ればいいってものでもないし…悩ましいです。私は一生学ぶものだと思っていて、本当は学ぶコミュニティを作りたいんです。大人も勉強すべきだと思うし、大人が勉強しなかったら子どもに『勉強しなさい!』って言えないじゃないですか。大人もみなさんそれぞれ好きなことがあると思うんですよ。好きなことを学び続けることでレベルアップして、その人が社会に還元すれば社会全体がが良くなると思うんです。どんな分野でもいい。忙しくて学ぶ時間がない事も多いですが、隙間時間でも学べたら。こういう感覚が子どものうちから習慣づいてたらいいのになって思って、そのためにこの塾をしていきたいです。」

社会の底上げ。
壮大な夢ですね!

最後に言いたいことはありますか?

「みんなが心身ともに健やかになることですね。最後に願うのは心身の健康です(笑)

本当ですね(笑)

お忙しい中、本日はありがとうございました!

「いえいえ。ありがとうございました。」

「はらっぱ」さんの情報は下記を参照してください。

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